価値観とは
押しボタン式の横断歩道。
日本では当たり前の風景だが、数年前からタイにも普及している。
東南アジアなどに行って旅行者が困ることのひとつに道路事情がある。
ルールなんか無いも同然なので、乗り物という乗り物全てがものすごいスピードでバンバン飛ばす。
もちろん歩行者優先なんてものもなく、道路を横断するのに困った経験を持つひよっこ日本人はたくさんいるだろうと思われる(笑)。
日本人だけでなく先進国出身の人すべてに言えることなのかもしれないが、ルールのない道路をいかに現地人と同様に何の苦も無く涼しげな顔で横断できるかは、長期滞在者にとってのステータスというか、ある種の誇りみたいなものである。
私もアジアと関わりを持ち始めて早10数年になろうとしてるので、さすがに余裕しゃくしゃくで道路を渡れる(笑)。
時代は流れ、押しボタン式の横断歩道の登場。
基本的に歩行者がいる場合は最近になってようやく車が停まるようになった。
だが歩行者が横断し終わったと同時にパトロール中と思しき警官が率先してバイクをスタートさせる。
これには笑ってしまった。
信号の意味は皆無。いや、少しはあるか・・・。
押しボタンのある横断歩道はまだ数えるほどしかないので、私の道路を渡れるという誇りはまだ健在であるのだが、今回タイよりも途上国になるネパール出身でしかも初海外のパートナーと一緒に滞在した時の話。
すごいものを発見したと興奮気味に話す内容がこの押しボタン式横断歩道のこと。
あんなものは面倒なだけだと話を一蹴する私。
そして一緒に行った出先で現れた押しボタン式横断歩道。
時刻はたぶん21:00くらい。
さすがにその大通りにも車はほとんどなし。
それでも嬉々としてボタンを押し、信号が変わるのを待つコン・ネパリ。
押しボタンの素晴らしさを語り続ける彼。
私の誇りが一蹴された。